ミュ−ジシャンズライフ イン ニューヨーク昔話 vol.1 ギグ編

結局ニューヨークには6年住んだ。

ストリートミュ−ジシャン・トラベラー昔話 vol.7でも触れたが

ストリートは主に最初の1年で後はクラブ・ライブハウスでの演奏活動になる。 

ただそれで食えるミュージシャン等ほんのひとにぎりだ。

今回はその辺の食えてないミュージシャンズライフのご紹介となる。

 

以前にタイで知り合ったタブラプレイヤーがニューヨーク郊外ロングアイランドの

実家にもどっていてそこにホームステイすることになった。

彼は近所の大きなゴーグル工場でバイトしていたので私もそこへ…

カシャ…ゴーグルがプレスされる…ドアを開けて取り出し閉めてボタンを押す…

カシャ…

このリピートを休み時間1時間のぞいて8時間繰り返す。 

たまに誤動作で引っかかるので止めて直す。 機械に合わせた単純労働…

そんなある夕方のニュースで衝撃が走った。

”ジョン・レノン マンハッタンで撃たれる!” 

工場もどこもかしこも暗く沈んだ雰囲気だった。

そして翌朝のニュースで彼の死去が知らされた。

 

さてロングアイランドだがファミリーで住むのならいいがミュ−ジシャン

三昧するにはあまりにも不向き…

でニューヨーク編でも出てきた多分マンハッタンで一番狭いと思われる

部屋に引っ越し。

せっかくアメリカくんだりまで来て…と今まで日本との接触を避けてきたの

だがどうも日本レストランでバイトした方がタックスも払わなくていいし

収入もかなりアップする…ってんで和食レストランで適当な時間バイト。 

数年後には東京の貿易会社の手伝いしながら日本からたまに来るちょっと

マニアックな連中のガイドみたいな事でなんとか食いつなぐことになる。

 

さてライブやちょっとした頼まれ仕事の演奏等”ギグ”と言うが、前編に登場した

ロングアイランド大学生で職員・白人ピアニストのマーチンがたまにこの

ギグを持ってきた。

その時はユダヤ教徒の結婚式のバンド演奏。 

ヒゲと両サイドの毛髪をのばし黒の山高帽にロングジャケットといった独特の

風貌の人たちだ。

この日はウエディングだったからそれなりだったような記憶が。

皆がよく知っている明るめのスタンダード等演奏したのだが…

このバンドが呼ばれたのはある1曲のためであった…と言えるかも。 

それは ”ハバナギラ”  ヘブライ語で歌われるこの古い

エスニックな民謡はユダヤ教徒の結婚式・成人式の定番曲なのだ。

ハバナギラが始まると会場はいきなりテンションが上がる。 

花嫁・花婿は騎馬戦状態で担ぎ上げられ会場を練り歩き人々が踊りながら続く。

曲は段々はやくアッチェレランドに演奏されていき会場は大盛り上がりとなる。

ウエディングにはバンド…これはあちらの社会ではごく普通な事のようだ。

 

ユダヤ教徒=ジューイッシュといえば、近所に住んでいた

サックスプレイヤーが言うに

「ダウンタウンのジューイッシュレストランでビッグバンドジャズ演奏に

参加するとただメシ食えます。ノーギャラだけど」 面白そうなので行ってみた。

ホーンセクションはフルに集まっている。 幸いギターは居ない。

でみんな良く知ってるグレン・ミラーとかカウント・ベイシーとか演奏するわけだ。

ビッグバンドなんて初めてなので結構面白い。 

ギターはコードのバッキングだけだし。

 

年配の気の良さそうなピアニストのおじさんと仲良くなった。

えらく訛りのある英語だった。

聞けば旧ソ連時代に(てかその頃まだソ連だった)ソ連のクラシックのオーケストラ

で渡米、ホルンを吹いていたのだが、最終日に脱走・亡命したのだ。

「ウォッカ? ありゃ水だっ」とか言って大笑いする陽気なオッサンだった。

しかしどうもビッグバンド特有のそれも大した事ないホーンセクション達の陰湿な

陰口があるようで「あのピアノはさ〜」とかコソコソ始まる。

2回目には私も標的になっていたようだ。 ま、ここは2回も行けば十分だった。

 

マーチンとのギグでもう一つ記憶にの残っているのがスタテンアイランドの

ラウンジバーでのピアノとギターのデュオ。 ウォーターフロントにある視界の開けた

おしゃれなラウンジからハドソン河越しにマンハッタンの摩天楼が見渡せる。 

そしてそこには今は無きワールドトレードセンターのツインタワービルもそびえていた。

マーチンと私はそこでビルエヴァンスとジムホールになった気分でギグを楽しんだ。

レベル的には足元にも及んでないが…ま…気分のもんだい。

 

 

                

 

 

   Youtubeでオリジナル曲のBGMチャンネルを作りました。 聴いてみてください。

   resort spiritual sound

 

    



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