ミュ−ジシャンズライフ イン ニューヨーク昔話 vol.5 バンド編Part3

始めて2年にもなっていただろうか…PDは好調であいつらもしかしたら行くかも…

とささやかれていたらしい。 まあそんなに甘くはなかったがそこは日本人社会から

ヒーローの出現を待ち望むファン心理だったのかもしれない。

ありがたいことではあった。

 

CBGBレギュラーに加えトンプキンス・スクエア・パーク野外フェスティヴァル…

これはかなり気持ち良かった。 初夏の爽やかな風吹く夕闇せまる公園の野外ステージ

のとりだった。 夕闇もせまっていたが雨雲もせまっているなか主催者側のアナウンス

”It”s going to rain!  みなさん!もうすぐ雨です。解散しましょう!!」

それでもやまぬオーディエンスのアンコールの呼び声…まるで映画ウッドストックの

1シーンを見ているような光景だった。

 

それからジャパニーズスペシャルがあって何故かブルーノート、

ブルーノートは今までにない客層を連れて来た…ということで再出演の依頼があり、なんと

ドラムのS氏が「お断りだよあんなとこ…だって音悪いじゃん」 ということであのジャズの

老舗を蹴った。 そのS氏はジャズドラム叩くとエルヴィンジョーンズみたいな音だった。

実際にロック系のライブハウスやクラブに比べるとジャズ系はPAがショボい。 

まあジャズやるんならいいんだけど。 

それにキャットクラブ かなり大きなフロアのディスコ…  あとバンドの

コンペでニューヨーク代表としてメンフィス・テネシーに送られることになったのだが何故か

忘れたが中止になった。

ミニコミ紙にとりあげられたり先ほどの某大御所ピアニストからのレコーディングオファー

とマネージャ紹介…マイルスのマネージャもやってるということだったが結局たいした仕事も

取ってこなかった。

 

そういった刺激的な日々もだんだん感覚が麻痺してきてなにか充実感も失われてくる。

本来、生活とはそういうもので淡々と続けていればバンドだって更なる高みに達したことだろう。

だがなかなか次のレベルにステップアップできないことの閉塞感もあった。

日本を出て12年、このままここでジャパニーズアメリカンとして生活の基盤を築いていくか…

日本に戻って今まで得てきたものを試してみるか…選ぶのなら年齢的にこのタイミング…

そんな思いが頭の中に広がり始めていたし逆に日本が新しい未知の領域のような気が

してきてしまった。

 

日本に、東京にもどることにした。

 

PDはつんのめるくらい前乗りの強烈ビートを叩き出すドラムのS氏、

アヴァンギャルドにもポップにも正確で冷静沈着なプレイのサックス&キーのY氏

そして私はギタリストとしては下手うまタイプだがかなりカラーの強いサウンドメーカー

曲作りは先ずS氏が極めて抽象的なイメージを出しそれにメンバーが答える形で音楽化していく

場合と、Y氏か私個々である程度作ってくるパターンだった。

この結成時のコアの3人のカラーは決定的だったので一人抜けた場合、メンバーを補充しても

バンドとしてのカラーを維持するのは不可能だった。

 

しかしメンバーにもなにかここのところの閉塞感はあったのだろう。

私の帰国決定に「ま しょうがないよね。」 といった程度の反応だった。

 

こうしてPD終了…おつかれさまでした。

素晴らしい夢を見させてもらった3年間だった。

 

帰国に先立ちキーボードのS君のロフトで私のお別れパーティーが開かれた。  

ロフト住まいなのでグランドピアノもあり当然ちょっとしたステージに

ドラムセットやアンプ類等がセッティングされた。

そしてPDでお世話になった人たちはもとよりかなりの数のミュージシャンに集まって

いただいていた。 数時間のパーティーの間中、途切れることなくミュージシャン達が

入れ替わり演奏でセッションを繰り広げもちろん私も参加した。

産まれてこのかた自分のためにこんな大規模なイベントを開いてもらったのは始めてだった。

 

そんな時間も過ぎ去って行く。 

お開きになろうという頃ジャズピアニスト・バリーハリスの秘蔵っ子にしてジャパンコミュニティの

長老的存在のK氏がやおらピアノに向かった。

おっ!なんかジャズバラードでも弾いてしっとりと美しくしめくくってくれようというのか…と

思いきやだ…

 

「それではみなさん…最後にこの歌で彼を送り出しましょう。みなさんご一緒に ”若者達” !」

 

 

   君の〜行く道は〜  果てし〜なく遠い〜  だのに〜な〜ぜ〜 歯をくいしば〜り〜 

 

          君は〜行く〜の〜か〜    そんな〜にして〜まで〜

 

 エ〜ッ!! Kさ〜ん!! ストリート編と6年間のニューヨーク音楽生活の最後の締めが

       よりによって その曲ですかっ!  イヤなヤツ〜!!!  

 

   「ワン モー タイム!!」

 

           君は〜行く〜の〜か〜

   

                そんな〜にして〜まで〜…

 

 

 

 

ストリートミュージシャン編 7話  ミュージシャンズライフ編 5話 

のミュージシャンシリーズはとりあえず今回で終了です。

最初から読んでみたい...という方は ”ストリートミュージシャン・トラベラーVo.1"

にとんでいただきページを12>11>10と逆順にさかのぼってください。

 

Youtubeでオリジナル曲のBGMチャンネルを作りました。 聴いてみてください。

resort spiritual sound    

 

 


コメント
コメントする








   

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

書いた記事数:35 最後に更新した日:2020/08/28

search this site.

others

mobile

qrcode